電柱はなぜ中が空洞?電柱の中が「ぽっかり空洞」になっている科学的理由

工場の屋外で横置きされ、円い空洞とコンクリートの厚い外壁が見える電柱の端部 ものづくり
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普段何気なく歩いている道路脇や街角で目にするコンクリート製の電柱。ずっしりと重厚感があり、たくさんの電線や変圧器をしっかり支えている頼もしい存在ですよね。

外側から見ると、まるで太くて頑丈なコンクリートの塊のように見えます。

ところが、撤去された電柱の切り口や上端などをよく見てみると、なんと中心部分が「ぽっかりと大きな空洞」になっているのをご存知でしょうか。

重い電線や強い風に耐えなければいけない柱なのに、中身が詰まっていないなんて「強度は大丈夫なの?」と不思議に思ってしまいますよね。

実はこの空洞、完成したあとにくり抜いたわけでも、材料を節約したわけでもありません。そこにはコンクリートを極限まで頑丈に仕上げるための「驚きの製造技術」が隠されていたのです。今回は、電柱の中が空洞になっている理由とその仕組みについて分かりやすくひも解いていきましょう。

鉄筋を入れた細長い型枠から始まる

電柱づくりでは、最初に長い鉄筋をそろえ、その周りへ細い鉄筋をらせん状に巻いて、筒形の骨組みを作ります。これを、縦に二つへ分かれる細長い金属製の型枠へ収めます。

型枠を閉じる前には、コンクリートの中で柱を支える主筋や、ひび割れを抑えるためのPC鋼線が、外周に近い位置へ並びます。PC鋼線は、あらかじめ両端から強く引っ張った状態で固定されます。まだこの段階では、型枠の中に鉄筋の骨組みが通っているだけです。

次に、砂、砂利、セメント、水を混ぜたコンクリートを型枠へ注入します。ただ流し込んだだけなら、材料は下側へたまり、円い柱にはなりません。ここから型枠全体を横向きのまま回す工程が、電柱の形を決めます。

回転すると、コンクリートが外側へ集まる

コンクリートを入れた型枠を遠心機に載せ、高速で回転させます。メーカーの製造工程では、なんと最大30Gもの加速度を加えて締め固めるとされています。回転する洗濯機の中で衣類が槽の壁へ押し付けられるように、型枠の中のコンクリートも外周へ移動します。

砂利や砂、セメントを含む部分は型枠の内壁へ押し付けられ、鉄筋の周りを包みながら円筒状に締まります。一方、余分な水分は中心側へ集まります。水分を取り除くと中央に空間が残り、外側には密に詰まったコンクリートの層ができます。

鉄筋を型枠へ入れ、コンクリートを注入し、回転させて中心に空洞を作る三段階の製造工程

回転が止まった時点で、電柱はすでに「中空の筒」になっています。あとから長い穴をまっすぐ削る必要はありません。型枠の内側が電柱の外面を決め、回転によってできるコンクリートの内面が空洞の壁になります。

工場見学や展示などで切り口が見えるコンクリートポールがあれば、穴の周囲にほぼ同じ厚さの壁が続いているのを確認できます。中心へ棒を通して穴を開けた形ではなく、型枠の全周へ材料が同じように押し付けられた形です。円い空洞そのものが、「型枠が回転した向きを残している証拠」なのです。

固めたあと、引っ張った鋼線が柱を締める

遠心成形を終えた電柱は、型枠ごと蒸気で温めて固めます。十分な強さが出たあとに型枠を外すと、引っ張られていたPC鋼線が元の長さへ戻ろうとします。その力が固まったコンクリートを長さ方向へ強力に圧縮します。これが「プレストレス」と呼ばれる仕組みです。

コンクリートは押される力には強い一方、引っ張られる力ではひび割れやすい材料です。あらかじめ圧縮する力を加えておくことで、風や電線の重さで柱が曲げられたときにも、ひび割れが生じにくい状態を作ります。

中空のコンクリート電柱を切り開き、外周の密なコンクリートとPC鋼線・鉄筋の位置を示した断面

中が空洞でも、外周の密なコンクリートと内部の鋼線が役割を分けて力を受け止めます。

コンクリートポールの規格では、先へ向かって細くなる型を「中空の円すい台」、太さが一定の型を「中空円筒」としています。空洞は一部の電柱に偶然できた穴ではなく、製品の形そのものに含まれているのです。

電柱の中心に残る空間は、強度を犠牲にしてくり抜いたものではありません。回転する型枠がコンクリートを必要な外周へ押し集め、鉄筋を包む丈夫な筒へ変えた証拠なのです。

まとめ:コンクリート電柱の中が空洞である理由

  • 遠心成形による製造:型枠を高速回転させ、遠心力でコンクリートを外周へ集めることで自然と中央に空洞ができる。
  • 密で丈夫な仕上がり:回転によって余分な水分の除去と強力な締め固めが行われ、外周に強固なコンクリート層が形成される。
  • プレストレス効果:内部のPC鋼線がコンクリートを強く締め付けるため、中が空洞であっても風や横からの強い力に耐えられる。

参考資料

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