なぜ1時間は60分なのか?割り切れやすさと古代天文学が生んだ時間の仕組み

くさび形文字の粘土板と金色の時計が木の机に並び、古い計算と時間のつながりを表す場面 時間・暦
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予定を「30分ずつ」に分けたり、授業を「20分ずつ」区切ったり、時計の針が「15分」を指すのを待ったりします。一時間は当たり前のように60分ですが、10分や100分ではなく、なぜ60分なのでしょうか。

答えは、60が細かく分けやすい数であり、古代メソポタミアで使われた60進法が天文計算を通って時計の単位にも残ったからです。60分という形は、時間を測るために新しく選ばれた数字ではなく、古い計算のものさしが時計へ引き継がれた結果です。

60は、時間を小分けにしやすい

一時間を半分にすると30分です。三等分なら20分、四等分なら15分、六等分なら10分になります。どれも端数が出ず、時計の文字盤や予定表で扱いやすい長さです。

60は、2、3、4、5、6、10、12など、多くの数で割り切れます。たとえば四人で一時間を同じだけ使うなら、一人15分。三つの作業へ同じだけ時間を割り振るなら、一つ20分です。何分何秒と小数を使わなくても、きれいな整数で分けられます。

60分を半分、三等分、四等分、六等分したときに30分、20分、15分、10分になる図

私たちが普段使う10は、2と5では割り切れますが、3や4では割り切れません。10分の三分の一は3分20秒になります。60分なら三分の一が20分で終わります。時間を人へ分けたり、途中で区切ったりする場面では、この違いが大きくなります。

60を一つ上の位にする数え方

私たちは、9の次を10として桁を上げる10進法を使っています。古代メソポタミアでは、59の次を「60が一つ」として次の位へ進める「60進法」が使われました。60を一まとまりにする数え方です。

この数え方は、粘土板へ記した計算や、天体の位置を求める計算で使われました。60を基準にすると、半分、三分の一、四分の一といった分け方を、短い数字で表しやすくなります。細かい差を扱う天文計算には都合のよい仕組みでした。

ただし、古代の人々が最初に60を選んだ決め手は、はっきり分かっていません。指の関節で数えたという説明や、異なる数え方が混ざったという説がありますが、どれか一つに確定しているわけではありません。確かに言えるのは、60進法が長く使われ、その分けやすさが計算の中で役立ったことです。

空の角度を刻んだ数が、分と秒になった

60進法は、時間より先に、空の角度を細かく表す計算で力を発揮しました。古代バビロニアの天文学者たちは60進法で計算し、のちにギリシャの天文学者プトレマイオスは、角度を60の小さな単位へ分け、さらにその一つを60に分ける方法を使いました。

ここから、最初の細かい単位を表す言葉が「分」、次の細かい単位を表す言葉が「秒」につながります。もともとは星の位置や円の角度を表すための細かな目盛りでした。

時計が正確になっていくと、この60進法の目盛りが時間にも使われるようになりました。一日は24時間、その一時間は60分、その一分は60秒。地球の動きが60で区切られているのではありません。空を正確に読むために便利だった数え方が、時計の針の内側に今も残っています。

古代メソポタミアの粘土板、60進法の位取り、60分の時計を矢印でつないだ図

まとめ:なぜ1時間は60分なのか

  • 60は多くの数で割り切れ小分けしやすい:2、3、4、5、6などで綺麗に割り切れるため、時間を半分(30分)や四等分(15分)など整数で扱いやすい利点があります。
  • 古代メソポタミアの60進法が由来:計算や天文観測で扱いやすかった「60を一まとまりとする数え方」が長く使われてきました。
  • 天体の角度計算から「分」と「秒」が誕生:星の動きや角度を細かく測る60進法の単位が、後に時計の精度向上に伴って時間にも適用されました。

私たちが当たり前に使っている「1時間=60分」には、計算のしやすさを追求した古代の知恵と天文学の歴史がそのまま息づいています。

参考資料

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