雨のあと、道路脇の側溝には水が集まります。その上にある金属のふたを見ると、棒のあいだには細長いすき間が並んでいます。
「水を流すなら大きく開けたほうがよさそうなのに、なぜわざわざ格子にするのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
側溝の格子状のふたは、雨水の入口であると同時に、人や車の重さを側溝の両端へ渡す構造物です。
水を通すすき間と、重さを受ける棒を一枚にまとめているため、穴の大きさも棒の太さも設置場所に合わせて入念に決められています。
格子のすき間は「雨水の入口」
側溝の格子状のふたは、専門用語で「グレーチング」と呼ばれます。雨水が路面を流れてきたとき、水は棒と棒のあいだを通って側溝へ落ちていきます。
ふたを一枚の板にすれば人は歩きやすくなりますが、水が下へ入る道がなくなってしまいます。反対に、棒の数を減らしてすき間を広げれば水は通りやすくなりますが、上から踏まれた重さを受ける場所が少なくなってしまいます。
つまり格子は、「水を逃がすためにふたを抜いた形」ではなく、「水が入る道を残しながら、上を通れるようにした形」なのです。

ちなみに、雨水を通せる面積の割合は「開口率」と呼ばれます。開口率が高いほど排水しやすくなりますが、同時に強度の確保(折り合い)も必要になります。ただ均一に見える格子のすき間は、排水性と通行の安全性・耐久性の両方を計算しつくした間隔なのです。
重さを支える「太い棒」の向きと役割
格子をよく見ると、すべて同じ太さの棒だけでできているわけではありません。
側溝の向こう側からこちら側へ、受け枠に渡るように並ぶ太い棒が、主に重さを受ける部分です。業界では「主部材」や「ベアリングバー」と呼ばれます。
人が踏んだり車輪が通ったりすると、重さはまずこの太い棒へかかります。棒は両端の受け枠に支えられ、真ん中で受けた力を側溝の両側へ分散させます。まさに、格子の一本一本が小さな橋として並んでいる構造です。
一方、太い棒の間を横切る細い棒は「クロスバー」と呼ばれます。主部材の位置をしっかり固定し、細長いすき間を一定に保つ役割を持っています。
一見すると一本の金属製のふたに見えますが、「重さを支える棒」と「間隔を保つ棒」で、それぞれの役割が明確に分かれているのです。
すき間の広さは「場所」ごとに変わる
すべての側溝に同じ格子が使われているわけではありません。
- 歩道: 人が通ることを前提とした安全な仕様
- 車道: 乗用車や大型車などの重量に耐える堅牢な仕様
グレーチングにはこのように、設置場所に応じた明確な荷重区分が存在します。
また、すき間の細かさも一つではありません。すき間を細かく(細目タイプに)すれば、ハイヒールの靴のかかとや車椅子の細い車輪がはまりにくくなります。しかし一方で、同じ大きさのふたなら棒が増えるぶん、水の通り道(開口率)は減ってしまいます。

「雨水が多く集まる場所」「歩行者が多い場所」「車が横切る場所」など、その場所で何を最優先するかによって設計が少しずつ変わるのです。
まとめ:グレーチングが持つ2つの仕事
格子の表面に滑り止めの模様が付いた製品が多いのも、このふたが単なる排水口ではないからです。
- 側溝の中へ効率よく水を落とす仕事
- 安全で途切れない路面をつくる仕事
その2つの役割を同時に果たすために、金属の棒は計算されたすき間を残したまま今日も並んでいます。
側溝の格子は、雨水を通す穴が並んだだけのふたではありません。一本ずつが重さを受け止め、棒の間が水の入口になることで、路面は途切れずに側溝だけが開いた状態を保つことができるのです。
参考資料:ダイクレ「グレーチングの開口率について」/ダイクレ「グレーチングの耐荷重・強度計算について」/カネソウ「HXF|スチール製グレーチング」


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