ペットボトルのキャップはなぜPETではない?密封を支えるやわらかい素材

なぜキャップは別素材? 部品・パーツ
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「ペットボトル」という名前から、容器全体がPETでできているように思えます。ところが、透明なボトル本体はPET樹脂でも、色の付いたキャップは主にPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)です。同じ容器なのに、なぜ素材をそろえないのでしょうか。

理由は、本体とキャップが受け持つ仕事の違いにあります。ボトル本体には形を保つ硬さが必要ですが、キャップには口元へ密着し、回して開け閉めできるやわらかさが求められます。同じ素材で統一するより、それぞれの動きに合う素材を選んだほうが、容器としてうまく働くのです。

ボトル本体は、薄くても形を保つ

PETは「ポリエチレンテレフタレート」という樹脂です。透明性があり、軽く、容器の材料として使える強さを持っています。飲料を入れたボトルは、運搬中に積み重ねられ、手で握られ、自動販売機や冷蔵庫の中でも形を保たなければなりません。

そのため、本体には薄い壁で飲料を囲みながら、簡単にはつぶれきらない役割があります。胴にある溝やくびれも形を支えますが、その土台になるのが比較的硬いPETです。透明な本体を一枚の壁として作ることにも向いています。

一方、キャップは形を保つだけでは足りません。ボトルのねじ山に沿って回り、口元へ押し付けられ、開封後は何度も締め直されます。本体とは違い、接触しながら動く部品なのです。

ボトル本体とキャップの素材の違い

キャップは、わずかに変形して口元へなじむ

キャップに多く使われるPPやPEは、PETよりもやわらかい樹脂です。キャップを締めると、内側のねじや口元に触れる部分へ力がかかります。このとき素材がわずかに変形できると、ボトルの口へ沿いやすくなり、液体や空気の通り道ができにくくなります。

やわらかさは、開け閉めにも関係します。ねじ山同士が触れたまま回るとき、キャップ側が適度にたわむことで動きを受け止めます。PETボトルリサイクル推進協議会は、ボトルとキャップの両方を硬いPETにすると、気密性や滑らかな開閉に問題が生じる懸念があると説明しています。

ただし、やわらかければよいわけではありません。締めた力を保てないほど変形すれば、密封する部品として働きません。キャップには、口元へなじむやわらかさと、ねじの形を保つ強さの両方が必要です。PPやPEは、その二つを両立させる材料として使われています。

違う素材でも、水の中で分けられる

素材を分けると、リサイクルしにくくなるようにも見えます。けれどもPETとPP・PEには、水に対する重さの違いがあります。PETの比重はおおむね1.4で水より重く、キャップに使われるPPやPEは比重が1未満で水より軽い素材です。

回収した容器を細かく砕いて洗う工程では、この差を利用できます。水を使った比重分離では、PETの破片は沈み、キャップなどのPP・PEは浮きます。違う素材が混ざっていても、浮くものと沈むものに分けられるため、すべてをPETで統一する必要はありません。

PETとPP・PEの比重分離

家庭で資源回収に出すときは、キャップ本体を外し、自治体の決まりに従って分別します。口元に残る細いリングは、無理に外さなくても、処理工程で材質の違いを利用して分けられます。

ペットボトルの名前が示しているのは、主に透明な本体の素材です。キャップだけが別の樹脂なのは、材料をそろえ損ねたからではありません。硬い本体が形を保ち、やわらかいキャップが口元を閉じる。一本の容器の中で、異なる材料がそれぞれの仕事を分担しています。

同じボトル本体でも、炭酸用の底にある五つの出っ張りは、内側からかかる圧力を受け止めるための形です。詳しくは「ペットボトルの底はなぜデコボコ?炭酸の圧力を受け止める5本の足」で紹介しています。

参考資料:PETボトルリサイクル推進協議会「PETボトルQ&A Section1 PETボトルの基礎知識」/全国清涼飲料連合会「カーボネーション」

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