警察はなぜ110番?警察への通報が「110番」になった深いワケ

明るい木の机に置かれた黒いダイヤル式電話と、左上に大きく入った「なぜ110?」の文字 歴史
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事件や事故が起きたとき、私たちが真っ先にかける「110番」。

でも、ちょっと不思議に思いませんか?もし緊急時に「一刻も早く」通報させたいなら、一番早く押せる「111」にするのが合理的な気がしますよね。キリの良い「100」でも覚えやすそうです。それなのになぜ、あえて中途半端に見える「110」になったのでしょうか。

実はこの番号には、私たちが今使っているスマホやボタン式電話ではなく、昔の「ダイヤル式電話(黒電話)」を指でジーコジーコと回していたころの深い理由が隠されているのです。

なぜ「111」じゃない?短い動きで回せる二つの「1」

昔の電話機には、数字ごとに穴が並んだ円いダイヤルが付いていました。かけたい数字の穴に指を入れ、右下にある金属の止め具まで回して指を離す。するとダイヤルが元の位置へ戻る動きが、電話機の中で信号に変わる仕組みでした。

このダイヤルの中で、もっとも止め具に近く、回す距離が短いのが「1」です。

一分一秒を争う緊急時には、とにかく早く電話をかける必要があります。そこで、指をほんの少し動かすだけで素早く回せる「1」が最初の数字に選ばれました。さらに同じ「1」を二回続ければ、覚えやすく、かつ最速で二桁分を回すことができます。

最後の「0」は、間違い電話を防ぐストッパー

「それなら、三回とも『111』にすれば一番早かったのでは?」と思いますよね。ここでポイントになるのが、最後の「0」です。

ダイヤル式電話において、「0」は「1」とは正反対に、ほぼ一周ぐるりと回さなければならない一番遠い数字でした。

ダイヤル式電話の1から止め具までの短い動きと、0からほぼ一周する長い動きを比べた図

急いでいるときにわざわざ遠い「0」を最後に置いたのは、間違えて警察にかけてしまうのを防ぐためでした。「1」のような短い動きの数字を三回続けると、何かの拍子にダイヤルに触れたり、子どもがイタズラで少し回したりしただけで、簡単につながってしまいます。

最後の「0」は、「いったん落ち着くため」と説明されることもありますが、警察が示している本来の理由は誤作動の防止です。最初の「1」二つでスピードと覚えやすさを確保し、最後の「0」を大きく回す手間をかけることで「これは本当に警察にかける電話ですか?」という確認のストッパーにしていたのです。

実は最初、全国でバラバラの番号だった

こうして作られた110番通報の制度ですが、1948年にスタートした当初は、なんと地域によって番号が違っていました。

東京や横浜は今の「110」でしたが、大阪や京都、神戸は「1110」、名古屋にいたっては「118」でした。住んでいる場所によって、警察を呼ぶための緊急番号がバラバラだったのです。

1948年の都市別番号と、1954年に110へ全国統一された流れを並べた年表図

しかし、電話が家庭に広まり、人々の行き来も活発になってくると「旅行先で事件に巻き込まれたのに、番号が違って警察につながらない!」といったトラブルが起きるようになりました。そこで1954年、わかりやすく間違いにくい東京の「110」が採用され、全国共通の番号として統一されることになったのです。

電話機が変わっても、手の動きが番号に残った

その後、時代は流れて電話機はダイヤル式からボタン式(プッシュホン)へ、そしてスマートフォンの画面へと進化しました。今の電話では、「1」を押すのも「0」を押すのも、かかる時間や手間はまったく同じです。

「1は短く、0は長く回す」という物理的な仕組みは、もう今の操作からは完全に消えてしまいました。

それでも番号だけは変わることなく、当時のままの「110」が残りました。最初の二回は素早く急いで、最後の一回は大きく回して間違いを防ぐ。私たちが何気なく押している110番は、昔の人がダイヤルを回していた時の「手の動き」をそのまま保存しているタイムカプセルのような番号なのです。

まとめ:110番が110である理由

  • 「1」が二つ続く理由:ダイヤル式電話で一番回す距離が短く、緊急時に素早くかけられるから。
  • 最後に「0」が来る理由:一番遠くて回すのに時間がかかる「0」をあえて置くことで、誤ってつながる(間違い電話)のを防ぐストッパーの役割を果たすから。
  • 全国統一されたのは後から:制度開始時は都市ごとに「1110」や「118」などバラバラだったが、利便性のため最も優れた「110」に統一された。

次にスマホの画面で「110」という数字を見かけたときは、指でジーコジーコとダイヤルを回していた昔の人の様子を少しだけ想像してみてくださいね。

参考資料

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